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e田橋crazys曲目解説(6)

カフェ・ヘルシンキ

マンドリン、マンドラ、ギターの為に書いたサンバ風の曲。この曲に関してはかつて乗り継ぎで利用したヘルシンキ、ヴァンター空港での印象を基にしているが、スコアの最後にはこの曲で表したかった情景を散文風にしたものが書き添えられている。

    カフェ・ヘルシンキ(情景)

11月のヘルシンキ・ヴァンター空港。
まだ夕方の6時だが、緯度の高いこの地ではすでにとっぷりと日が暮れている。
全面ガラス張りの窓の外は零下に近いのか、小雪が寒風に舞っているのが見える。
一方で窓のこちら側には汗ばむほどの熱気があふれている。
世界中からの乗り継ぎ客数がピークを迎える時間帯だ。

僕はカフェの椅子に腰を降ろし、このシュールで雑然とした風景を俯瞰していた。
予想外のトラブルで乗り継ぎに遅れそうなのか、言い争いながら小走りでカートを押す夫婦。
ビールを片手に大声で騒ぎながら歩くバックパッカー。
ムーミンショップに出くわし甲高い声ではしゃぐ子供たち。

僕はこれらの雑踏に軽い頭痛を感じてはガラスの外の寒さに思いを寄せ、
コーヒーを口にして開いていた文庫本に目を落とす。
こうして僕は、僕だけに不当に長く与えられたかの様に思えた乗り継ぎ時間を過ごした。

いつの間にか時は経ち、気づくとさっきまでの混雑は引き潮の様に去っていた。
乗り継ぎ便をロストしたのか、二人寄り添ってベンチで仮眠する男女。
作業服を着た清掃員が通路の上を滑らせていた巨大な白いモップは、
アプローチ上を鈍重にすすむ大型旅客機を連想させた。

外に目をやると、すでに雪は止んでいる。
晴れて透明になった空気が、冷徹さを増した外気を僕に想像させる。
はるか遠くの空に、幸運のオーロラが見えた。


昨年(2015年)末に作曲、2016年2月27日、渋谷公園通りクラシックスでのライブでオープニング曲として演奏された。
なおこの曲はフルート、ヴァイオリン、ギター編成用に別名義で作曲した「リミニの宿屋主人」と一部内容が重複している。

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